平成27年10月23日、名古屋市健康福祉局から「平成27年10月5日に名古屋市食品衛生機動班が名古屋市内の食品販売店で『フジトレーディング株式会社(大阪市福島区福島4丁目8番28号)』が輸入した冷凍食品を収去し、名古屋市衛生研究所において検査を実施した結果、基準値を上回る農薬フィプロニル0.004ppmを検出したことから、食品衛生法第11条第2項違反である」との連絡がありました。
大阪市保健所が調査したところ、当該品は「フジトレーディング株式会社」が平成27年8月10日に中国から輸入したものであることが確認されたことから、本日、同保健所が当該輸入者に対して当該品の回収を命じました。
1 輸入者
フジトレーディング株式会社 代表取締役 富田 秀樹
大阪市福島区福島4丁目8番28号
2 回収命令対象品
商品名:Festivalいんげん・М
名称:いんげん(冷凍食品)
形態:合成樹脂製袋詰
内容量:500g
賞味期限:2017.2.1
ロット番号:5F040XSFY(賞味期限の下に記載)
原産国名:中国
3 違反内容
食品衛生法第11条第2項違反
いんげん(冷凍食品)から農薬フィプロニルを食品の規格基準(食品一般の成分規格)に定める量(0.002ppm)を超えて検出
4 輸入及び流通状況
(1)輸入届出年月日及び輸入量
平成27年8月10日500カートン(10,000袋)
(2)流通状況
一次販売先は次のとおり
流通状況
都道府県 | 販売先(箇所) |
東京都 | 2 |
石川県 | 5 |
富山県 | 2 |
愛知県 | 4 |
三重県 | 1 |
滋賀県 | 1 |
京都府 | 2 |
大阪府 | 10 |
奈良県 | 1 |
和歌山県 | 1 |
兵庫県 | 7 |
岡山県 | 2 |
広島県 | 3 |
香川県 | 3 |
徳島県 | 2 |
愛媛県 | 9 |
販売数量については、現在確認中です。
【 参 考 】
フィプロニル
(1)用途:農薬(殺虫剤)
(2)毒性評価
食品安全委員会による食品影響評価では、ADI(許容一日摂取量:毎日一生涯食べ続けても健康に悪影響を及ぼさないと推定される量)は0.00019mg/kg 体重/日としています。
今回の検査結果においてフィプロニルが0.004ppm(0.004㎎/kg)検出されましたが、これは体重60kgの人が毎日一生涯当該品を2.85kg食べ続けても健康に悪影響を及ぼさない値です。
このように、ただちに健康被害が発生する量ではありません。
フィプロニル試験法
1. | 分析対象化合物 フィプロニル |
2. | 装置 電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。 |
3. | 試薬、試液 総則の3に示すものを用いる。 |
4. | 標準品 フィプロニル 本品はフィプロニル99%以上を含む。 融点 本品の融点は200~201°である。 |
5. | 試験溶液の調製 a 抽出法 (1) 穀類及び種実類の場合 検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後、その10.0gを量り採り、水20mlを加え、2時間放置する。 これにアセトン100mlを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mlを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下で約30mlに濃縮する。 これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。n-ヘキサン100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、n-ヘキサン層を300mlの三角フラスコに移す。水層にn-ヘキサン50mlを加え、上記と同様に操作して、n-ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでn-ヘキサン20mlを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でn-ヘキサンを除去する。 この残留物にn-ヘキサン30mlを加え、100mlの分液漏斗に移す。これにn-ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。n-ヘキサン層にn-ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え、上記と同様の操作を2回繰り返し、アセトニトリル層をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でアセトニトリルを除去する。この残留物にn-ヘキサン2mlを加えて溶かす。 (2) 果実及び野菜の場合 検体約1kgを精密に量り、必要に応じ適量の水を量つて加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。 これにアセトン100mlを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mlを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下で約30mlに濃縮する。 これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。n-ヘキサン100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、n-ヘキサン層を300mlの三角フラスコに移す。水層にn-ヘキサン50mlを加え、上記と同様に操作して、n-ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでn-ヘキサン20mlを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でn-ヘキサンを除去する。この残留物にn-ヘキサン2mlを加えて溶かす。 b 精製法 内径15mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gをn-ヘキサンに懸濁したもの、次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ、カラムの上端に少量のn-ヘキサンが残る程度までn-ヘキサンを流出させる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後、アセトン及びn-ヘキサンの混液(1:49)100mlを注入し、流出液は捨てる。次いでアセトン及びn-ヘキサンの混液(1:9)80mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40°以下でアセトン及びn-ヘキサンを除去する。この残留物にn-ヘキサンを加えて溶かし、正確に5mlとして、これを試験溶液とする。 |
6. | 操作法 a 定性試験 次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。 操作条件 カラム 内径0.32mm、長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用5%フェニル―メチルシリコンを0.25μmの厚さでコーティングしたもの。 カラム温度 60°で2分間保持し、その後毎分10°で昇温し、180°に到達後5分間保持する。次に毎分6°で昇温し、250°に到達後1分間保持する。さらに、毎分10°で昇温し、300°に到達後10分間保持する。 試験溶液注入口温度 250° 検出器 310°で操作する。 ガス流量 キャリヤーガスとして高純度窒素を用いる。フィプロニルが約24分で流出する流速に調整する。 b 定量試験 a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。 c 確認試験 a 定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。 |
7. | 定量限界 0.01 mg/kg |
8. | 留意事項 なし |
9. | 参考文献 なし |
10. | 類型 A |