アクリナトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン及びトラロメトリン、ビフェントリン、ピレトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート並びにペルメトリン試験法(農産物) 1.分析対象化合物
農薬等の成分である物質 | 分析対象化合物 |
アクリナトリン | アクリナトリン |
シハロトリン | シハロトリン |
シフルトリン | シフルトリン |
シペルメトリン | シペルメトリン |
デルタメトリン及びトラロメトリン | デルタメトリン、トラロメトリン |
ビフェントリン | ビフェントリン |
ピレトリン | ピレトリンI、ピレトリンII |
フェンバレレート | フェンバレレート |
フルシトリネート | フルシトリネート |
フルバリネート | フルバリネート |
ペルメトリン | ペルメトリン |
2.装置
電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。
3.試薬、試液
次に示すもの以外は, 総則の3に示すものを用いる。
凝固液 塩化ナトリウム2g及びリン酸4mLに水を加えて400 mLとする。
アクリナトリン 本品はアクリナトリン98%以上を含む。
融点 本品の融点は81~83℃である。
シハロトリン 本品はシハロトリン97%以上を含む。
沸点 本品の沸点は187~190℃(減圧・0.027kPa)である。
シフルトリン 本品はシフルトリン98%以上を含む。
シペルメトリン 本品はシペルメトリン96%以上を含む。
融点 本品の融点は60~80℃である。
デルタメトリン 本品はデルタメトリン98%以上を含む。
融点 本品の融点は98~101℃である。
ビフェントリン 本品はビフェントリン99%以上を含む。
融点 本品の融点の69~71℃である。
ピレトリン 本品はピレトリンI11~12%、ピレトリンII13~15%を含む。
フェンバレレート 本品はフェンバレレート98%以上を含む。
フルシトリネート 本品はフルシトリネート98%以上を含む。
沸点 本品の沸点は108℃(減圧・0.047kPa)である。
フルバリネート 本品はフルバリネート92%以上を含む。
ペルメトリン 本品はペルメトリン97%以上を含む。
融点 本品の融点は34~39℃である。
4.試験溶液の調製
1)抽出
(1) 穀類、豆類及び種実類の場合
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後、その10.0gを量り採り、水20 mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100 mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50 mLを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約30 mLに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100 mLを入れた300 mLの分液漏斗に移す。
n-ヘキサン100 mLを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、
n-ヘキサン層を300 mLの三角フラスコに移す。水層に
n-ヘキサン50 mLを加え、上記と同様に操作して、
n-ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで
n-ヘキサン20 mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で
n-ヘキサンを除去する。
この残留物に
n-ヘキサン30 mLを加え、100 mLの分液漏斗に移す。これに
n-ヘキサン飽和アセトニトリル30 mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。
n-ヘキサン層に
n-ヘキサン飽和アセトニトリル30 mLを加え、上記と同様の操作を2回繰り返し、アセトニトリル層をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下でアセトニトリルを除去する。この残留物に
n-ヘキサンを加えて溶かし、正確に5mLとする。
(2) 果実、野菜、ハーブ及びホップの場合
果実、野菜及びハーブの場合は、検体約1kgを精密に量り、必要に応じ適量の水を量って加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。
ホップの場合は、検体を粉砕した後、検体5.00gを量り採り、水20 mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100 mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50 mLを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約30 mLに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100 mLを入れた300 mLの分液漏斗に移す。
n-ヘキサン100 mLを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、
n-ヘキサン層を300 mLの三角フラスコに移す。水層に
n-ヘキサン50 mLを加え、上記と同様に操作して、
n-ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで
n-ヘキサン20 mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で
n-ヘキサンを除去する。この残留物に
n-ヘキサンを加えて溶かし、正確に5mLとする。
(3) 抹茶の場合
検体5.00gを量り採り、水20 mLを加え、2時間放置する。これにアセトン100 mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50 mLを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約30 mLに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100 mLを入れた300 mLの分液漏斗に移す。
n-ヘキサン100 mLを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、
n-ヘキサン層を300 mLの三角フラスコに移す。水層に
n-ヘキサン50 mLを加え、上記と同様に操作して、
n-ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで
n-ヘキサン20 mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で
n-ヘキサンを除去する。
この残留物にアセトン50 mLを加えて溶かし、凝固液50 mLを加え、軽く振り混ぜた後、5分間放置する。次いでケイソウ土2gを加え、軽く振り混ぜた後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液を300 mLの分液漏斗に移す。アセトン及び凝固液(1:1)混液25 mLを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。洗液を上記の分液漏斗に合わせる。これに塩化ナトリウム10g及び
n-ヘキサン50 mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、
n-ヘキサン層を300 mLの三角フラスコに移す。水層に
n-ヘキサン50 mLを加え、上記と同様に操作して、
n-ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで
n-ヘキサン20 mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で
n-ヘキサンを除去する。この残留物に
n-ヘキサンを加えて溶かし、正確に5mLとする。
(4) 抹茶以外の茶の場合
検体9.00gを100℃の水540 mLに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過し、冷後ろ液360 mLを500 mLの三角フラスコに移す。これにアセトン100 mL及び飽和酢酸鉛溶液2mLを加え、室温で1時間静置した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液を1,000 mLの分液漏斗に移す。次いでアセトン及び水(1:1)混液50 mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う。洗液を上記の分液漏斗に合わせる。
これに塩化ナトリウム20g及び
n-ヘキサン100 mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、
n-ヘキサン層を300 mLの三角フラスコに移す。水層に
n-ヘキサン100 mLを加え、上記と同様に操作して、
n-ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで
n-ヘキサン20 mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で
n-ヘキサンを除去する。この残留物に
n-ヘキサンを加えて溶かし、正確に5mLとする。
2)精製
内径15 mm、長さ300 mmのクロマトグラフ管に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gを
n-ヘキサンに懸濁したもの、次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ、カラムの上端に少量の
n-ヘキサンが残る程度まで
n-ヘキサンを流出させる。このカラムに1)抽出で得られた溶液2mLを注入した後、
n-ヘキサン50 mLを注入し、流出液は捨てる。次いでエーテル及び
n-ヘキサン(1:3)混液150 mLを注入し、溶出液をすり合わせ減圧濃縮器(I)中に採る。次いでエーテル及び
n-ヘキサン(3:2)混液100 mLを注入し、溶出液をすり合わせ減圧濃縮器(II)中に採り、それぞれ40℃以下でエーテル及び
n-ヘキサンを除去する。すり合わせ減圧濃縮器(I)中に採った溶出液の残留物に
n-ヘキサンを加えて溶かし、正確に2mLとして、アクリナトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン及びトラロメトリン、ビフェントリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート並びにペルメトリン試験の試験溶液とする。すり合わせ減圧濃縮器(II)中に採った溶出液の残留物に
n-ヘキサンを加えて溶かし、正確に2mLとして、ピレトリン試験の試験溶液とする。
5.操作法
1)定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カ | ラム:内径0.25 mm、長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用メチルシリコンを0.25μmの厚さでコーティングしたもの。 |
カ | ラム温度:50℃で1分間保持し、その後毎分25℃で昇温する。175℃に到達後、毎分10℃で昇温し、300℃に到達後4分間保持する。 |
試験溶液注入口温度:280℃
注入方式:スプリットレス
検出器:320℃で操作する。
ガ | ス流量:キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。デルタメトリンが約19分で流出する流速に調整する。メイクアップガスの窒素の流量を至適条件に調整する。 |
2)定量試験
1)定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
3)確認試験
1)定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
6.定量限界
アクリナトリン 0.01 mg/kg
シハロトリン 0.02 mg/kg
シフルトリン 0.05 mg/kg
シペルメトリン 0.01 mg/kg
デルタメトリン 0.01 mg/kg
ビフェントリン 0.01 mg/kg
ピレトリン 0.2 mg/kg
フェンバレレート 0.005 mg/kg
フルシトリネート 0.005 mg/kg
フルバリネート 0.01 mg/kg
ペルメトリン 0.02 mg/kg
7.留意事項
1 | )トラロメトリンは、ガスクロマトグラフの注入口でデルタメトリンに変換されるので、デルタメトリンを標準品として定量を行い、これを分析値とし、デルタメトリン及びトラロメトリンの基準値と比較する。 ピレトリンは、ピレトリン成分中のピレトリンI及びピレトリンIIの和を分析値とする。 |
2 | )定量限界は、果実、野菜及びハーブを試料とした場合の値を示したものであり、穀類、豆類及び種実類の場合は概ね2倍、茶及びホップの場合は概ね4倍の値となる。基準値が定量限界より低い試料の場合は、試験溶液を濃縮する、ガスクロマトグラフへの注入量を増やすなどによって対応する。 |
8.参考文献
なし
9.類型
A